それは、絶対王者の君臨だった
初めてこの「Black Star」を聴いた時は、何歳の時だったろうか
TVから大量消費されてくる音楽に辟易し、当時は世間の求めている音楽に嫌気がさし
いつも、耳を塞いでいた
今、思えば、消費されていく音楽の役割というのも十分に理解できるし、飽きるまで流すメディアの戦術というのも
徐々に見えてはきている
ただ、当時は
自分の否定する音楽がはびこっている
世間はみんな同じ音楽しか聴かない
もう、駄目だ。自分がぬるい音楽に犯されていく
そんな恐怖心があった
あの時の自分は音楽に対する情熱が有り余りすぎて、周りが見えなくなっていたのも事実だが
音楽に対して、世間は真摯的ではないと思っていた
理論も情熱も感じさせず中身の無い音楽に群がる民衆は
まるで王を失った国家のようだった
みんな支持する者が分からないまま
「あれがいい、これがいい」
の言葉に踊らされていた
そして、自分も支持する王がいないまま
ゆるやかに世間に迎合していくと思っていた
しかし
偶然聞いた一曲が
自分の心臓を撃ち抜いてしまった
衝撃
ただただ衝撃・・・
今のメジャーシーンを否定するような音楽
痺れた・・・
その曲こそ
「Black Star」
その日から、やっと
空いた玉座には
凛とした姿の王が現れたのだった
ネオクラシカル
というジャンルが、やはりイングヴェイの代名詞になってくるのではないかと思う
聞きなじみの無い方も多いと思うのだが、
ネオクラシカルとは
簡単に説明してしまえばクラシックをメタル化したもの
メタルというと嫌悪感を持つ人も、なぜか多いのだが
クラシックの様式を踏まえながらも、高度な技術で演奏する様は完成されており
楽譜は理論道理に音符が並び、そのただずまいは美しい
確かな技術と理論によって構築されたジャンルであり一聴の価値はある
この「Black Star」については、
イングヴェイのファーストアルバムの曲だけあって
ネオクラシカル感は少ないが
静から動
動から静はクラシックを彷彿させる
チョーキングの多用などはロック的なのだが、一音一音の高低が波のように流れる様はクラシック的でもある
イングヴェイは後々に
技術に頼りすぎてフィーリングが無いと揶揄される様になるのだが
だとしても、新たなクラシック音楽を開拓したイングヴェイの功績は大きい
美しく高度な技術で魅了し続ける王者・イングヴェイの名曲
「Black Star」
是非 聴いてもらいたい一曲である
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